三重県菰野町・湯の山温泉の一角に、今や「伝説」として語られる旅館があります。その名も杉屋旅館。
江戸時代から続く長い歴史を持ち、一時は温泉街の顔とも言える存在だったこの旅館。
しかし今では、心霊スポットとして注目される“廃墟”となり、多くの都市伝説や噂が飛び交っています。
なぜこの旅館は人々を惹きつけ続けるのか?
本記事では、「杉屋旅館とは何か?」という基本情報を皮切りに、その歴史、廃業の理由、さらには心霊現象や体験談や恐怖のエピソードまでをたっぷりとご紹介します。
杉屋旅館とは?湯の山温泉にあった幻の巨大廃旅館の基本情報【口を揃えた怖い話第6弾】

三重県の菰野町にある「杉屋旅館」は、湯の山温泉の中でも特に長い歴史を持つ、まさに伝説のような存在の旅館です。
湯の山温泉の開湯は、江戸時代の元禄年間(1688年〜1704年)とされていますが、杉屋旅館もその時期に創業したと伝えられており、
温泉街の中で最も古い旅館といわれています。
実はこの杉屋旅館、湯の山温泉が一度衰退したあと、再び賑わいを取り戻した1680年頃に開業したとされていて、
当時から地元の人々や旅人たちに親しまれていたようです。
三重心霊スポット④
— かわうそ (@wug0029) August 5, 2020
杉屋 (菰野町)
元禄時代から続いた歴史ある温泉旅館の廃墟。
古くは織田信長の北伊勢侵攻により衰退した湯の山温泉に、1680年頃の再興時に開業したと伝えられており、西南戦争の傷付いた兵士の臨時療養所にもなったといわれる。
現在は和風の木造建築が静かに朽ちるのを待っている pic.twitter.com/qrLypt7xgJ
杉屋旅館は江戸時代からあったのか。。建物を見ても、本当に歴史を感じるね。

さらに明治時代には、植物採集家として知られる須川長之助が宿泊し、
御在所岳周辺の植物を採集する拠点として使っていたという記録も残っています。
現在では、
杉屋旅館の建物は営業を終了し、ひっそりと朽ちつつある和風木造建築の姿が残るのみとなっています。
温泉街のランドマーク的な存在だっただけに、その寂しさもまた一層の趣を感じさせてくれます。
SNSや、口を揃えた怖い話第6弾などでも「三重の心霊スポット」として紹介されることもあり、廃墟となった今でも多くの人々の興味を引きつけ続けています。

杉屋旅館は、単なる宿泊施設ではなく、時代を超えて多くの人々の思い出と歴史が詰まった場所なんだね!
杉屋旅館が“心霊スポット”と呼ばれる理由!杉屋旅館の恐怖体験談

杉屋旅館が“心霊スポット”と呼ばれる理由は以下の通りです。
それぞれ1つずつ詳しく見ていきましょう。
①:動く人形がいる
理由のひとつとしてよく話題にあがるのが、旅館の廊下に置かれている古い日本人形の存在です。
この日本人形、ただの飾りではなく、
「勝手に動く」「目を離すと位置が変わっている」
といった不気味な体験談が多数報告されているんですよ。
地元の住民の間では、「呪われているのでは?」という噂が昔からあって、「ひとりで動き出す人形がある」と本気で信じられているほど。

特に夜になると、その人形の表情が妙に悲しげに見えるとも言われ、まるで何か強い念が宿っているかのような雰囲気を漂わせているそうです。
実際に旅館を訪れたという人の証言によると、
「ふと目を離したすきに、人形の位置が変わっていたんです。
誰かが動かしたとかじゃなくて、本当に自然に場所がズレていたような感じで……。
気づいた瞬間、背筋がゾッとしました」
というような、かなりリアルな体験談もあります。
日本人形って、もともと顔立ちが人間に近いからこそ、見れば見るほど不気味に感じる部分もありますよね。

しかも日本のホラー映画や都市伝説の中でも、日本人形って、
「何かが宿っている」「魂が入っている」
といったモチーフで使われることが多いよね。
そのイメージも相まって、杉屋旅館の人形に対する恐怖感をさらに強めているのかもしれません。
②:特殊な部屋の存在
杉屋旅館には、以下の2つの特殊な部屋が存在しています。
- 「お経の部屋」と呼ばれる部屋
- 「鬼の部屋」と呼ばれる部屋
一体、どういうところなの?

「お経の部屋」とは?
ず、「お経の部屋」とは、その名の通り、部屋の壁一面にお経の文字が書かれているとされる非常に異様な空間。
部屋の四方すべてにびっしりと経文が記されている様子は、訪れた人に強い不安感や不気味さを与えるそうです。
地元ではこの部屋は「呪われた部屋」とも呼ばれており、
ある特定の順番で旅館内の部屋を回っていくと、このお経の部屋で幽霊に出会うという都市伝説的な話もあるようです。
「鬼の部屋」とは?
もうひとつの「鬼の部屋」と呼ばれている部屋も、強烈な印象を残す場所とされています。
この部屋には、名前の通り「鬼」に関連する何かが置かれていたとされ、
その内容についてははっきりしていないものの、ただならぬ雰囲気だったとの証言が残っています。
特に旅館の最下層には、異常に大きな仏壇があり、そこに足を踏み入れると空気が一変し、不穏な気配に包まれると言われています。

「まるで誰かに見られているような感覚だった」
という人もいて、その異様さが噂をさらに深めているようです。
ただし、人気YouTuberの「はじめしゃちょー」が杉屋旅館を訪れた際の動画では、
「お経の部屋」や「鬼の部屋」と思われる場所は明確には確認できませんでした。
ですが、動画の中でも旅館全体に漂う異様な雰囲気や、何とも言えない不気味さは視聴者にも伝わっており、
「心霊現象が起こってもおかしくない」
との声も多数寄せられています。
③:不気味な現象が起こる
杉屋旅館には、不気味な現象が起こるとされています。
では、どんな現象があるのでしょうか?
以下に、よく語られる代表的な体験談をご紹介します。
・常に誰かに見られているような感覚
・突然の物音がする
・霊の気配を強く感じる
などがあります。
X(旧Twitter)では、以下のような投稿もありました。
校舎裏の廃墟、足音や目の前で戸棚が閉じたのゾッとした...。廃旅館杉谷、何階に居るのかわかなくなる作り込み、真相に近付いているけど、立ち入ってはいけないような、圧迫感凄かった...。
— ᴬᴺᴺᴬ (@Pisces__1111) January 1, 2024
#ゾゾゾ
恐怖の三重心霊スポットツアー!校舎裏の廃墟&伝説の最恐廃旅館・杉屋で大肝試しスペシャル より pic.twitter.com/xRaJNyAEOF
というように、言葉では表現しきれない不安感や恐怖が、旅館の空間全体を覆っているようです。
誰かがいるんだろうか。。?

もちろん、これらすべてが“本当に心霊現象か?”と問われると、そうとも限らない部分もあります。
たとえば、古い建物では木がきしんだり、風で扉や窓が揺れることもよくあります。
実際、私自身も築50年以上の家に住んでいて、夜中に「ギシッ…」「ドン!」という謎の音が聞こえることがありますが、
これも単に建物の構造によるものです。
杉屋旅館も同じく、長年風雨にさらされた木造建築であるため、こうした自然な音や振動が“霊の仕業”として受け止められてしまうこともあるかもしれません。
杉屋旅館で何があった?いつ廃業したのか徹底調査!
三重県の湯の山温泉にある杉屋旅館は、その長い歴史とミステリアスな雰囲気で「心霊スポット」としても知られていますが、
そもそもこの旅館はどんな歴史をたどり、なぜ廃業してしまったのでしょうか?
杉屋旅館の過去と廃業に至るまでの経緯を詳しく見ていきましょう。
明治時代の杉屋旅館:療養所としての役割も
杉屋旅館の創業は、江戸時代・元禄年間(1688〜1704年)と非常に古く、その歴史の深さは湯の山温泉の中でも随一。
そんな杉屋旅館には、明治時代に特別な役割を果たしていた時期があります。
それは、1877年に起きた「西南戦争」の頃のこと。
この内戦で負傷した兵士たちの“臨時療養所”として、杉屋旅館が使われていたという記録が残っているんです。
つまり、単なる温泉宿ではなく、戦争で心身ともに傷ついた人々が癒しを求めて休んだ、歴史的にも非常に重要な場所だったわけですね。
高度経済成長期以降に直面した厳しい現実
しかし、その後の時代の流れは、決して杉屋旅館にとって明るいものばかりではありませんでした。
1960年代、高度経済成長期を迎えた日本では都市化が進み、生活スタイルも大きく変化。
旅行の形も団体旅行から個人旅行、海外旅行へと移り変わっていきました。
これにより、湯の山温泉を含む多くの地方の温泉街は、
次第に観光客が減少するという問題に直面することになります。
杉屋旅館もその影響を大きく受けることに。
杉屋旅館の廃業とその時期
観光客が減ったことで、宿泊者数も激減。
経営は次第に厳しくなり、やがて旅館を維持することが難しくなったようです。
そうして、長い歴史を持つ杉屋旅館もついに廃業へと追い込まれてしまいます。
正確な廃業の時期については、公式にはっきりとした記録は残されていないのですが、
2008年にはすでに営業していないことが確認されています。
また、現在の建物の劣化具合や、廃墟として語られ始めた時期などを考慮すると、おそらく1995年〜2005年ごろに廃業したと推測されます。
つまり、今からおよそ20〜30年ほど前にはすでに営業を終了していたというわけです。
【三重最恐】巨大廃旅館”杉屋旅館”で何があった?心霊現象といつ廃業したのか場所の特定情報まとめ!
杉屋旅館は、三重県菰野町の湯の山温泉にある最も古い旅館でです。
明治時代には西南戦争で負傷した兵士の臨時療養所としても使われたことがあり、
その役割の重さからも、地域にとってどれほど重要な存在だったかがうかがえます。
しかし、1960年代以降の観光客減少により温泉街自体が衰退し、杉屋旅館もまた経営困難となり、最終的には1995年〜2005年頃に廃業。
2008年にはすでに営業しておらず、現在はその木造建築だけが静かに時の流れに身を委ねる、いわば“記憶の中の旅館”となっています。
ただの古びた旅館ではない、何か“見えないもの”が今もそこに残っている。
そう感じさせるのが、杉屋旅館が今なお多くの人の関心を集め続ける理由なのかもしれません。